ワキガ

08【もうだめ……】

意を決して学校へと行った私を待っていたのは、あからさまな視線でした。

 

教室に入って行くと、明らかにざわめきの気配が変わり、露骨に遠巻きにされ、こちらをチラチラ見ながら、あちこちで、ヒソヒソと何か囁き合っています。

 

「よく平気で学校に来るよね」

 

そんな囁やきが、わざとらしく聞こえてきました。

 

それを止める人は、居ないようでした。

 

気のせいだと、そう思いこもうとし、去年から比較的仲良くしていたクラスメイトへと視線を向ければ、今度は、否定のしようのないような、あからさまな態度で視線をそらされました

 

そして、何よりショックだったのは、教室の何箇所かで、こちらを見ながらヒソヒソ話をしているグループの中に、密かに恋心を寄せていた彼の姿があったことでした。

 

実際に、体臭があるのかどうか、自分ではよくわからなかったし、もしかしたら、あの彼女の言いがかりなだけかもしれない、と、そう思いこんで、なんとか乗り切ろうとしていた気持ちが、完全に挫けました。

 

恋心抱く彼に、臭い子だと思われた──。

 

もう、ここには居られないのだと、その瞬間に思いました。

 

席に着こうとしていた自分が、無意識に踵を返して、教室の扉から飛び出し、授業を行うためにこちらに向かって歩いてくる先生を押しのけるようにして外へと飛び出しました。

 

本当に噂されていたのか自分のことなのか、とか、何でそこまで、あの彼女が自分のことを目の敵にしているのか、とか、もう、そうなことはどうでもよくなっていました。

 

=>09【自主退学】