ワキガ

04【悩みの始まり】

彼女は私の名を知っているようでしたが、専門課程になってからクラスメイトになった彼女の名は、私はまだうろ覚えでした。

 

あまりの言葉に、さすがにびっくりして、少し目を見開き、イジメかとビクつきながら振り向きました。

 

「ねぇ、中田さん、あなた、ちゃんとお風呂入ってるの? 席が近くだし、私、臭いで気が散って仕方ないんだけど」

 

彼女は、更に畳み掛けるように苦情めいて言葉を続けます。

 

「失礼します」

 

何を言われているのか良くわからず、ただただ、いたたまれない思いで、荷物を手早くまとめて、教室から飛び出し、そのまま駅まで走りました。

 

臭いだなんて、そんな指摘をされたことは、今まで一度もありませんでした。

 

実家の家族は体臭とは無縁でしたし、自分自身だって、体臭なんて無縁、気にしたことはありませんでした。

 

ちゃんとお風呂に入ってるの? と、嫌そうに彼女は言っていましたが、今のアパートは、実家よりも手軽に入浴できるため、ゆっくり入浴する頻度は高くなっていましたし、殆ど毎日、少なくともシャワーは浴びていました。

 

それなのに、臭いだなんて言われて、ショックでした。

 

きっとイジメか嫌がらせなんだと思いました。

 

何か、気に入らないことがあって、言いがかり付けられているに違いないと、まだ、その時は思っていました。

 

意地悪なクラスメイトが居る、ということで、今まで感じたことのない憂鬱な気分が襲ってきていました。

 

学校に行きたくない、と、感じたのは、初めてのことでした。

 

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