ワキガ

10【逃げるような生活】

やりたいことがあるから、と、母には言ったものの、実の所、唯一の夢であったデザイナーへの道が閉ざされてしまった今、やりたいこと、というのは雲を掴むような話になっていました。

 

とにかく、学校をやめた経緯や、こんなもやもやした気持ちを抱えたままで、実家に帰るのは嫌でした。

 

事情を知らない、1年の時のクラスメイトが数名、私が学校をやめたと聞いて、心配して家まで尋ねてきてくれたようですが、とても会って話をする気にはなれなくて、何度か居留守を使いました。

 

ドアがノックされるたび、足音を立てずに玄関に行き、扉のスコープから誰が来たのか確認して、退学した学校の関係者の時は、留守だと思って諦めて帰るまで、じっと息を潜めていました。

 

アルバイトなり、何か仕事を探さなくては、と思いながらも、暫くはショックから抜け出せず、無気力なまま時が過ぎ去るのを待っている感じでした。

 

急に、宙ぶらりんになった感じで、いつになく、暴飲暴食状態になっていました。
家事をするのも億劫なので、出来合いのお惣菜やパンが食事の主流となっていました。

 

実際、アルバイトを探すといっても、体臭のことが気になっていないといったら嘘になります。

 

なるべく、人と接することのないような、ぽつんと一人でできるようなアルバイト仕事はないだろうか、と、求人誌を見ながらそんなことばかり考えていました。

 

そんな都合の良い仕事があるとはおもえず、あったとしても、その前に、面接があると思うと、憂鬱で、なかなか前へと進み出せませんでした。

 

=>11【アルバイトの日々の中で】